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僕は残りの三人に事情を伝えた。北条さんもヒカリも口を手で押さえ、吐き気を堪えている様子だった。ここに来てから、既に4人の人間が死んだのだ。
「本当に健一が襲って来たの?」
「ああ、僕にはわけが分からないよ。いきなり後ろから花瓶で殴られた。
僕は言いながら、床の上に散乱している花瓶の欠片を指した。
「あら、本当に・・・・」
北条さんは花瓶の異様な散らばり様に愕然としていた。きっとこの館の中にある瘴気が、健一を変えてしまったのだろう。
「僕は雄太君のせいじゃないと思うよ。こいつは雨がっぱの仕業さ。奴が健一君に憑依したんだ」
「あなたは黙ってて」
北条さんが田丸さんの顔を睨み付けた。まるで氷のように冷たい視線に、田丸さんは少し後ずさった。
「死体はこのままにしておきましょう。警察も来るでしょうし」
僕の言葉に田丸さん以外の全員が頷いた。田丸さんは何か思うところがあるのか、健一の死体をじっと見つめている。
「これからどうしよう」
「とりあえず、いつまでも大広間で固まっていても仕方ないわ。空き部屋も結構あるみたいだから、それぞれ、自分の部屋を決めて、今日はそこで休みましょ。もちろん、鍵を掛けるのを忘れないようにね」
北条さんの提案で、僕達はそれぞれ、空いた部屋に一人ずつ入ることにした。館にはベッド付きの休める部屋がいくつもある。まるで寮のようにも見えるが、こんな所に泊まる奴はそんなにいるだろうか。
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