第1章-「それ」は突然にやってくる-

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「何が良いか聞いただけなんだけど・・・」 「同じでしょ。っていうか、言葉遣いについてはスルー?」 「うん、スルーしとく」 「・・・まぁ良いや。今度にしといてあげる」 そう言うと、葵は店員を呼んでプリンパフェを頼んだ。 「おいおい、結局頼むのかよ。せっかく太陽が心配してんのに」 「良いの、あたしは痩せやすい体質だから」 「よく言うぜ・・・。お、そういえばよ・・・」 「どうしたの?」 和樹が持ち出す話にはろくなものがない。それが中学の頃につるんだ、僕たちの暗黙の了解だった。 「いやぁ。実は昨日・・・」 「かわいい女の子見つけた、でしょ、どうせ。あんたの頭の中そんなお花畑で大丈夫?ホント。最近クラスの女の子たちがウワサしてるよ。渡辺くんがところ構わずかわいい女の子に告白してるって」 「え、それは初耳なんだけど」 「ばか、そんなことお前に言われたくねぇよ。一日中おひさまばっか追っかけてるくせに」 「はぁ?あたしはあんたみたいにバカやってないわよ。だいたい、あたしをヒマワリみたいに言わないでよ。ひむかい あおいっていう立派な名前があるんだから」 「漢字で書きゃ一緒だろ」 バッグから紙とペンを取り出す。 ひむかい あおい → 向日 葵 ヒマワリ → 向日葵 「一緒だね」 「だろ?」 「もういいっ!ここにあたしの味方なんか居なかった!」 店員の入れた水で喉を潤すと、葵は眉にしわを寄せながらその目を和樹へ向ける。 「で?実は昨日・・・の続きはなんだったのよ?かわいい女の子見つけたとかだったら去勢するけど」 「去勢されるから言わねぇことにした」 「やっぱりそういう話なんだ・・・」 「けどなんか妙だったんだよな・・・」 「妙ってなにがよ」 「いや、なんかすごいキョロキョロしててさ、挙動不審っていうやつ?それにすごい息切らしてたし」 「あんたそれ危ない娘じゃない?やめといた方が良いわよ、きっと」 「でもすっごい可愛かったんだよなぁ・・・」 「まあ和樹も危ない感じだし、意外と話合ったりするかもね」 「おいおい太陽さんよぉ、少し表出ようか」 「そうだね、そろそろ店出ないと暗くなっちゃうし」 「そこじゃないでしょ。てか、ちょっと待ちなさいよ。あたしのプリンパフェまだでしょ」
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