第1章

4/17
前へ
/40ページ
次へ
「おじさん、って、傷つくな。俺はまだ20代だぜ。悪かったよ、界人君。」 笑うと、確かに若い。 「須磨さん、もうここには来ないんですか…?」 僕は、彼の作るカルボナーラが好きだ。 あれが食べられなくなるのは、ツラい。 「奴は、仕事でな。多分、もう来ない。寂しいか?」 面白がるように僕を眺める男。 僕は「別に、」と答えた。 須磨さんはいつも僕と距離を置いていた。 まるで、ペットの犬が死ぬと悲しいから、あえて心を開かない、というように。 それは僕も同じで。 誰かと深く関わる気は、最初からなかった。
/40ページ

最初のコメントを投稿しよう!

9人が本棚に入れています
本棚に追加