第2章

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主人の体の変化に始めに気がついたのは、家を新築して間もない頃だったと思います。 私が歯の痛みを訴えて、歯医者にいくと骨まで穴が空き、膿が溜まっていたので、隣の県の総合病院を紹介され歯の手術をすることになりました。 治療に通う私に付き添ってくれた主人。 日帰り手術の時も、子供を連れて一緒に来てくれました。 病院で診察を待って椅子に腰かけているその時、退屈な主人は病院の廊下をうろうろし始めました。 私は、何となく主人の歩く姿を見て首を傾げました。 あんなに摺り足で歩いていたかな? 膝は曲がり少し前屈みで歩く主人。 手もあまり動いていない…。 その時に早く病院に連れて行ってればよかった。 私が見ているのに気づいた主人はニッコリ笑って私の隣に座りました。 「お父さん?さっき歩いていたけど、歩き方変だったよ。」 「そうか?俺も年かな? 昔から歯みがきや顔を洗う時も膝は曲がってたしな。 うちの家族はほとんど曲がってたよ。 遺伝かな?」 年だからか…。 病気ではなく、癖みたいたものなのかな? 主人はまた、笑いながら話を続けました。 「そんなに歩き方、変か? 仕事場でもラジオ体操の時に俺ばかり叱られるんだ。 真面目に体操しているのにさ… ちゃんと体が動いていないって、体操をバカにするなって。」 そして私の前で、体操の動きをして見せたのです。 私はその時、主人の体の動きを見て絶句しました。
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