第1章

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もう、どのくらい歩いただろう…。 何度も休みながら、妻のいる病院を目指す。 やっとの思いで病院に辿り着く。 自動販売機で暖かい缶コーヒーを二本買う。 妻と二人で飲むために… 冷えた手のひらを缶コーヒーが労をねぎらうように温めた。 あともう一息で妻の病室。 「…やっと会える。 あいつ、まさか俺一人で来れるなんて思ってないだろうな…。 弟の車に頼らなくても、運転出来なくても俺は自分の足がある。 会いたくなったらどんなことをしても会いに行くさ。 守ってやる。 今度は俺がお前を守ってやる!」 よろめく足に力が入る。
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