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唯一落ち着いているのはあの時、副長室に居合わせていた沖田総司ただ一人だった。
そんな中、局長、副長、そして参謀の伊東甲子太郎が並んで広間に入ってきた。
すると、今までの騒ぎが嘘のようにしん、と静まり返る。
皆何が告げられるのかとじっと三人が隊士と向き合って座る様子をうかがう。
隊士を全員集めるのはとても稀なことだった。
普段はそれぞれの組長を通して情報の伝達が行われる。
全員が息をのんで局長の言葉を待った。
暫く間があってやっと近藤が重たい口を開いた。
「今日は、みんなに報告がある。」
ごくっと息をのむ音がどこからともなく聞こえる。
また少しの間をおき、近藤が真面目な顔で続けた。
「明日は『ばれんてぃん』だ」
一言も聞き漏らさまいと食いつくように近藤を見つめる隊士たち。
そして皆気づく。
隊士が何かおかしいことに気づき、それぞれ首をかしげはじめたところで近藤はにっと大きな口を開いて無邪気な笑みを浮かべた。
そして。
「明日は新選組をあげて『ばれんてぃん隊対抗菓子争奪戦』を行う」
高らかにそう宣言したのだ。
そしてみんな喜ぶだろうと期待一杯の目で隊士たちの顔を一人一人見回す。
一人嬉しそうに「土方さんも考えたなぁ」とつぶやき笑う沖田。
他の隊士はと言うと話についていけず皆一様にぽかんとした表情を浮かべていたが、はっと我に返ると、「はぁあああ!?」と広間全体が震えるほどの悲鳴を誰からともなく上げたのだった。
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