【一月】かくし芸の天才 

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 沖田の出す案は大概ふざけた様なものである。  だが、ごく稀にどこからその様な案が出てくるのかと心底感心させられてしまう。  正直、沖田のおふざけに付き合っている余裕はなかったが、その『稀』に縋りたいと思った土方は沖田の案を聞くことにした。  促されて嬉しそうに笑うと、自信満々に語り始める沖田に、土方はすぐに後悔した。  それがいつもの、くだらないふざけた物だったからだ。  しかし、一旦は自分が催促してしまった手前、途中で話を止めることも出来ず、諦めてその話に付き合ううちに、だんだんとそれが上手くいくような気がしてきた。  具体的に映像が頭に浮かんできたのだ。  これは面白いかもしれない。  本当に上手くいけば、隊務が円滑に進むだけではなく、隊士たちのやる気を上げることも出来る。  何より、これ以上の案がこれから思い浮かぶとも思えなかった。 「ね、どうです?」   最後に期待を込めた顔で同意を求める沖田に、土方は一言こう言った。 「やるぞ」  その表情は既に策士の顔だった。  言うが早いが動き出した土方は、早速数人の隊士を呼び出すと、準備に取り掛かった。
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