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~ ルークside ~
「これはそっちに運んでと…こっちはっと……あぁ~朝か~…」
今、村長さんの指示のもと壊れた村の柵の修理をしている。まぁ男衆は怪我で動けない人がほとんどだから、今は女性陣に手伝ってもらっているんだけどな。
朝日が射す村の隅でせっせと材料を運ぶルークの周りを村長がウロウロしている。
「やっぱり私も何か手伝います!」
さっきからずっとこれ…。
「ダメです。ベットから起き上がるのも苦しそうだった人が何言ってんですか? ちゃんとおとなしくしていてください」
そう言うと、うぅ…と唸って落ち込んでしまった村長に、溜息をつく。
さっきからこの繰り返し、有り難いけどいい加減ウザ…め、面倒臭い。
(さて、応急処置は大体終わったし休憩するかな)
手や服についたゴミを払い、休憩しようと皆に声かけをしようとしたその時、村の入口の方から悲鳴が聞こえてきた。
「なんだ!!?」
逃げて来る人を避けながら急いで村の入口まで向かうと、そこには見覚えのある黒紫の狼が入口を塞ぐように立っている。
「紫焔の? …この村に何の用だ」
咄嗟に武器を掴み、殺気を纏わせ夜トを睨みつける。
夜トはそんなルークの殺気をものともせず薄く笑い、口元を歪ませる。
『なに、主に使いを頼まれてな。
…おい、殺気を納めろ怯えておるではないか』
夜トが足元に目をやる、それに釣られ足元に目をやると、足の影に隠れるように2つの人影がこちらの様子を伺っていた。
「リリアに奥さん!!? 何でコイツと一緒に!?」
『説明はこ奴らに聞け、主を待たせているのでな。では、確かに送り届けたぞ? それではな』
くるりと踵を返し去って行く夜トにリリアが叫ぶ。
「夜ト、送ってくれてありがと! ヒナタおねえちゃんにも、ありがとって言っといてねー!!」
そして姿が見えなくなるまで手を振る親子を見ていると、 隠れていた村の人達が次々やって来た。
皆が親子の無事を喜ぶ中、そっとリリアに話しかける。
「なぁ、夜ト? が言っていた主ってのはもしかしなくても…ヒナタか?」
「うん! そうだよ」
頭を抱えたくなるのを我慢して、そうか… とリリアの頭を撫でる。
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