時を超えた男

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 そんな事を考えていた私に、雅臣は、 「なぁ?俺の話聞いてる?」  と、いささか機嫌の悪そうな声で告げる。ハッとした私だったが、なんと答えればいいのか咄嗟には浮かばなかった。  私は『源氏の君』と呼ばれているが、それは皇族から降(くだ)った時に父から与えられた源という姓の通称みたいな物だし、『光の君』というのも、あだ名でしかない。  私の真名(※この場合は、本当の名の意味)は他にあるのだが、それをこんな見ず知らずの男に教える訳にはいかない…。
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