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驚き、飛び退いた俺を男は鋭い眼差しで睨み据える。
光る刃(やいば)のような眼差しに俺は気圧されつつも、男の顔から目が離せずにいた。
…こんな、男、見たことがない。
これまで俺は男女問わず、イケメンや美女を何人も間近で見てきたが、ここまで『美しい』という言葉がしっくりくる人間は初めてだった。
見惚れるを通り越して、魂をまるごと奪われるような、息が止まるような、そんな感覚。
念の為に言っておくが、俺にソッチの気は全くない。健全なる異性愛者だ。
なのに、この男は、そんな、性別すらも超越してしまうかのように、全てが圧倒的な”美“で満ちていた。
コイツはただ者じゃない───。
気付けば、俺は自然にこう口にしていた。
「なぁ、お前、うちのバンドのボーカルやらないか?」
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