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「あんた、歌は好きか?てか、歌は上手い方?」
俺の唐突な質問に、怪訝な顔をしながらも男は、
「当たり前だろう」
と、自信ありげに答えた。
「オォッ!ますます気に入ったぜ!」
今すぐにでも歌声を聞いてみたい。てか、これで、もし美声の持ち主なら本気で、『ダイヤの原石』見つけたんじゃないか!?
内心、めちゃくちゃ興奮していたのには訳がある。俺がリードギター兼リーダーを務めるロックバンド『べリアル』は、俺と、サイドギター、ベース、ドラムの4人で結成したばかりの新米バンドだ。
だが、肝心のボーカルがまだいない。絶対にメジャーデビューしてやる!って気持ちの強い俺には、バンドの花形であるボーカルは、「唯一無二」の存在を起用したいという想いがあった。
誰も真似出来ない、それでいて誰もが憧れ、熱狂するような圧倒的な“華“を持つ人間。
そんな奴に、この『べリアル』のボーカルになってもらいたかった。
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