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バンドのメンバーは勿論、俺の周りの人間は、そんな俺に対しどこか呆れていた。
『夢見るのは分かるけど、そんな凄いオーラ持ってる人間なんて、なかなか存在しやしないって』
そんな風に鼻で笑われた。だけど、見つけた!!
今、目の前にいる男を、ここで離す訳にはいかない。
「あんた、職業は?」
そう訊ねると、男はあからさまに不快感を表しながら
「知っての通り、無位無冠の身だが」
と答えた。俺は単純に驚いてしまう。こんだけのルックスなら、街歩いてるだけで、モデルやら芸能界からのスカウトだってハンパないだろう。それなのに、無職!?
余程、出不精なのか、働かなくても暮らしていけるほど、財力を持った女に囲われてんのか…。
俺は自分でも気付かない内に心で思っている事を口に出してしまう癖がある。
今もどうやら何か失礼な事を言ったらしく、男は眉間に一層皺を寄せた。
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