見知らぬ世界

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「…ソッチ???」  訳のわからない言葉にキョトンとしていると、雅臣は、 「まぁ、とにかく、男は『俺』って言うのが一番だぜ!『俺』」  と、頭の中将にそっくりな顔で明るく笑った。  着ている着物も、話し方も全く違うが、やっぱり似ている、と私…じゃなくて、俺は思った。  皆が私と関わるのを避け、遠ざかっていく中で、何も恐れず流刑地にまで馬を駆け、私…じゃなくて、俺を慰めに来てくれた、親友に…。 「光児、行く当てないんだったらしばらく俺んちにいろよ。自慢じゃないけど俺んち割りと広いし、空き部屋もあるしな」 「…いいのか?」  こんな、初めて会ったばかりの訳のわからない男を簡単に泊めるなんて…。  ためらう俺に、雅臣は言った。 「何、遠慮してんだよ?俺ら、ダチだろ?それに、光児はうちの大事なボーカルなんだからさ」 「…ダチ?」 「友達って事だよ!ってかマジで光児って日本語に疎いんだな」  ダチの意味も、ボーカルの意味も、正直、俺には全く分からなかった。  だけど、なんだか、胸がじんわりと暖かくなるような、そんな感じがした。  頭の中将が、須磨に来てくれた時のように……。
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