14人が本棚に入れています
本棚に追加
「…ソッチ???」
訳のわからない言葉にキョトンとしていると、雅臣は、
「まぁ、とにかく、男は『俺』って言うのが一番だぜ!『俺』」
と、頭の中将にそっくりな顔で明るく笑った。
着ている着物も、話し方も全く違うが、やっぱり似ている、と私…じゃなくて、俺は思った。
皆が私と関わるのを避け、遠ざかっていく中で、何も恐れず流刑地にまで馬を駆け、私…じゃなくて、俺を慰めに来てくれた、親友に…。
「光児、行く当てないんだったらしばらく俺んちにいろよ。自慢じゃないけど俺んち割りと広いし、空き部屋もあるしな」
「…いいのか?」
こんな、初めて会ったばかりの訳のわからない男を簡単に泊めるなんて…。
ためらう俺に、雅臣は言った。
「何、遠慮してんだよ?俺ら、ダチだろ?それに、光児はうちの大事なボーカルなんだからさ」
「…ダチ?」
「友達って事だよ!ってかマジで光児って日本語に疎いんだな」
ダチの意味も、ボーカルの意味も、正直、俺には全く分からなかった。
だけど、なんだか、胸がじんわりと暖かくなるような、そんな感じがした。
頭の中将が、須磨に来てくれた時のように……。
最初のコメントを投稿しよう!