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「…お邪魔します」
なんとなく浮かんだ言葉を口にすると、家の奥から、人影が見えた。
「雅臣、あんたね!…」
と出てきた中年の婦人を見て、俺は驚愕する。頭の中将の母親である大宮にそっくりだった。
だが、驚愕したのは俺だけではなかったらしい。婦人は、俺の顔を見るなり、目を丸くして真っ赤に頬を染めた。
雅臣が得意気にニヤニヤ笑っている。
「コイツが、俺のダチ。しばらくうちに泊まる事になるから」
雅臣に紹介され、俺は取り敢えず微笑み、
「えっと…はじめまして。俺は光…じゃなくて、櫻井光児といいます。雅臣君にはいつもよくしてもらって感謝しています。しばらくの間、ご迷惑おかけしますが、よろしくお願いいたします」
と、なんとか考え出した挨拶を述べてみた。
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