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雅臣の母親は、相好を崩しながら、
「こちらこそ、いつもうちの馬鹿息子が迷惑かけちゃってごめんなさいねぇ。それにしても、櫻井君は男前ねぇ。雅臣の友達にこんなに品の良いお坊っちゃんがいるなんて知らなかったわ」
と、俺に告げた。話し方も、笑い方も、頭の中将の母親とそっくりだ。
「それより、親父は?顔も見せないとか失礼だろ」
雅臣がぶっきらぼうに言うと、母親は慌てて
「あら、気付かなかったわ。呼んでくるから少し待っててね」
と、パタパタと奥に引っ込んだ。
これで、雅臣の父親が、頭の中将の父親の左大臣にそっくりだったらどうしようかな、と思っていた所に、雅臣の母親の後ろをのんびり歩いてくる中年男性の姿が見えた。
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