見知らぬ世界

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 唖然としている俺を、不審がるような眼差しでじろじろと見てから、葵そっくりの少年は、 「兄貴にしては、凄い上玉見つけてきたじゃん。で、歌は上手いの?」  と、告げると、右頬をニッとあげて不敵な笑みを浮かべた。なんて事だ!笑い方まで、葵の上にそっくりだなんて。だけど、この"アオイ“は紛れもなく男だ。  しかも、口が悪いときている…。雅臣は眉間に皺を寄せ、 「お前な、初対面の人に向かっていきなり"上玉“だのなんだのと、失礼だろ!」  と、弟の頭を軽く小突いた。 「イデッ!」  と、弟のアオイは、頭を抑え、きつい眼差しで雅臣を睨む。 「正直に物を言って何が悪ぃんだよ!?」 「お前みたいなのは、正直じゃなくて馬鹿正直って言うんだよ!」
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