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「愛斗が居なくなった場所、確認しに来たんだろ?」
遊馬が家の中を案内してくれた。
「風邪は、大丈夫か?」
遊馬の顔色は悪かった。血の気も無い。
「朝、突然高熱が出た」
なんとなく、俺達の影響が遊馬に行ってしまったらしく、肩身が狭い。
「でも、今は下がったから大丈夫」
サンダルを履き、庭に出てみた。今も、砂場がそのままになっていた。
背に背負っていたリュックから、ペットボトルの水を取り出すと、砂場の過去を見てみた。
愛斗の遊んでいた姿は見えたが、他は何も見ることができなかった。多分、用意されていた映像だけ見ることができたのだろう。
砂場から、店の方を見てみると、ガラス貼りになっていて、確かに誰かが通れば店内で気づいたかもしれない。
反対側を見てみると、壁際にまで建物が迫っていて、通ることはできなかった。
でも、ここは密室ではない。塀の向こうを覗いてみると、隣の家までは距離があった。
塀で仕切られているが、塀の向こうは隣の家の庭に面していた。庭は広く、農家もやっているのか、納屋も見えていた。母屋までは、数件分は離れている。
「子供では、塀は越せませんでしたよ」
「子供、一人ならば越せないだろうけど」
塀の向こうは、昼間ならば畑に出ていただろう。ならば、塀の向こうならば、人目に付かないで移動は可能だった。
愛斗は、連れ去られたのかもしれない。しかも、愛斗は死んでいない。ちゃんと、生きている。それは、この場所で羽を広げてみると分かる。ここには、残留でも思念が無い。人の思いが残っていない。
連れ去って育てている。けれど、今回は人形探しで、人間は探していない。
「今回は、人形を探す」
俺は、踵を返し室内へと戻った。棚に置いてある、他の二体を見たが、異常はなかった。遊馬の部屋に行くと、きっちり整理整頓された優等生の部屋という雰囲気だった。
「いつから、この家に暮らしているの?」
遊馬が、クッキーとコーラを持ってきてくれた。
「母の体調が、俺が三歳の時に悪化して、その時からと聞いています」
ならば、愛斗が消えた時に、遊馬もここで暮らしていたということになる。
「愛斗が消えた時は、母が家に一時帰宅していて、俺はここに居ませんでした」
でも、半年後、遊馬の母は無くなった。
「もしかして、遊馬の人形もあるのか?」
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