第1章

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 素直に謝ることにした。例え一穂が子供であっても、俺が悪かったのだから、真剣に謝る。 「二人とも、そこに正座してください」  一穂もベッドの上に正座する。 「弱っていたのに、どうして出かけるのですか?」  説教が、だんだん御形に似てきた。俺と直哉は、ベッドに正座して一穂の説教を聞いていた。  一穂が去ってゆくと、御形が帰って来ていた。部屋に入ってくると、理由は分からないが、説教モードに入っていた。 「待った、御形。俺達は、既に一穂の説教を受けた!」  訳の分からない説明だったが、御形は理解したのか説教を止めた。 「で、分かった事は何だ?」  どうも、遊馬の家に行ったことがバレているらしい。俺は、遊馬とキスした件を抜かし、一部始終を御形に説明した。 「どうも、真里谷は、叔父さんの逆バージョンらしいな」  御形には、鬼憑き(神様憑き)の強烈な叔父が居る。余りに強力過ぎて、一つの場所に長く住めない程だった。 「関わり合いたくないな」  御形の叔父も、来るだけで嵐のような現象を起こす。 「全く」  でも、直哉は透視で、俺が遊馬とキスしたことは知っていた。俺も、直哉が透視していることには気づいていたので、キス以上になったら直哉が入ってくるからと、安心していた。  でも、思い返すと、思いっきり真里谷を刺激したのではないか?関わらないで居られるのだろうか、俺。 第三章 人形と旅する  学校の廊下で、ばったり遊馬に会うと、軽く挨拶を交わした。  霊能力者の一族という肩書を持っている俺は、学校では浮いている存在だった。気軽に遊馬に声を掛けてしまい、しまったと思ったが、遊馬は全く気にしていなかった。  しかし、次の瞬間、廊下に面していたロッカーが地震でも無いのに倒れていた。 「早く解決した方がいいみたいね」  隣を歩いていた、直哉が呟いていた。  その週末、俺は霊関係で大怪我してから、母に手伝いをストップさえていたので、空が出来ていた。一人で人形を探しに行こうかと思っていたが、直哉が行くと言い出した。  今回の件、非常に危険な相手となりそうなので、御形は置いてゆくでは意見が一致しているが、直哉も千里眼と透視ならば、どこででもできる、現場にわざわざ行く必要は無かった。 「俺、一人でいいよ」  直哉が首を振る。 「ダメだ。人形が逃げているみたいでさ、一人では危険だよ」  一人と言っても、守護霊の恭輔も居る。
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