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この世界は女神と呼ばれる神様の、恩恵によって魔法を使える世界。
この世界はその魔法が発展した世界、そのなかである疫病が流行った。
その疫病は、強い感染力を持っており、発病した人間から空気感染する。感染した人間は発病後、一週間をかけて徐々に体の力が抜けてゆき、やがて体が動かなくなると今度は地獄の苦しみの果て死ぬ。
しかし特筆すべきはその疫病が魔族には一切発病しないということであった。
疫病は女神との対話を経て、教会が解毒魔法を開発するまでの3年間に全人口の4割を死滅させた。
結果として人々は魔族の進行と、疫病に苦しみ、魔王が現れてから三年の間に人類の領土は、ある小さな王国と、その周辺地域を残し、すべて侵略された。
三年間の劣勢の中、その小さな王国が生き残ることができたのは、孤島に浮かぶ地の利があったほかに、勇者の存在があったためであった。
その女神の加護を受けた選ばれし少年が、その啓示を全うし、疫病に苦しむその王国を仲間と共に、襲い来る魔物の手から守り抜いたのである。
そして、疫病の危機を人類が乗り切った後、勇者は旅立つことを決意した。
人々を苦しめる魔王を倒すため、勇者は、頼もしい三人の仲間と共に、世界を救うための旅にでた。
そして、苦難を乗り越えた勇者一行は、5年間の旅の末、ついに魔王と対峙を果たしたのである。
「魔王ッ……」
魔王城、魔王の間。
勇者は目の前、王座に鎮座する男を鋭く睨みつけた。
「我の配下を次々屠り、ついにここまで辿りついたと思うと、感慨深いものがあるな」
魔王は、穏やかな口調でいった。一見すると黒髪長身の若い男にしか見えない。
しかし、勇者にはわかった。この男から発せられる禍々しい魔力が、目の前の存在が間違いなく魔王であると告げていた。
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