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勇者と戦士の剣技を受け、体を後退させながらも、魔王は余裕を張り付けた顔で、二人の攻撃を防いでいた。
(伝説の剣でも切れないのか!?)
(ぬうううっ僧侶ちゃんによって強化された俺たちの剣技を防ぐとは)
無呼吸運動に二人が限界を感じたその時。
魔法使いと僧侶が叫んだ「どいてっ・くださいっ!」
「!」
その音が届くと同時、勇者と戦士はその場から飛び退く。
「今ここに古よりよみがえれ、太古の炎よ純粋なる穢れなき炎よ!熱炎極大魔法ファイアブレス!」
「我が力よ落ち荒ぶる彼方へ変われ極聖十字魔法イグザスト・テンペスト!」
灼熱極太光線と、眩く光る巨大な十字架が、取り残された魔王を襲う。
「なに!」
魔法使いと僧侶の究極魔法が、魔王に直撃する。粉塵と共に爆音と衝撃が空間を駆け抜けた。
「やったか!?」
着地同時、声を発した戦士の顔が、一瞬で曇った。
魔王のいた地点を起点に巻き起こる風が、粉塵を払いのけ、無傷の魔王が姿を現したのだ。
「ふむ、なかなかやるな」
魔王の周囲に、野球ボールほどの大きさの光球が30個ほど召喚される。
「なんて量だ!」と勇者が叫ぶ。
そして、魔王が手を振るうと同時、光球が、四人それぞれへ向け放たれる。
だが、四人がそれぞれ音速の回避に入る。
それを追尾する光弾。
「なっ!!」
迫る光弾、その内の一つに戦士は斧を振り下ろした。
着弾、同時に爆発、その爆発は残りの光弾にも誘爆し、戦士は爆炎の中に包まれた。
「戦士! くっそ!!」
勇者は跳躍し、紙一重で光弾を避けると、通り過ぎた光球に雷撃呪文を放つ。魔法の衝突により、光球が同時に炸裂した。
光球の爆風に吹き飛ぶ体の舵を取り、なんとか着地する。視界の隅で、魔法使いが僧侶と自分に迫る光球を、勇者と同じ要領でやり過ごすの確認して。
「……ふん。」
「!!」
背後に走る悪寒に、勇者はとっさに背面へ向け伝説の剣を振り抜く。
刃が空を切る、その切っ先の数センチ先に魔王の余裕の張り付いた顔があった。
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