第四章

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~~~~~~ 魔界――大魔王城、大魔王の間  巨大な王座に鎮座する、大魔王に対して魔王はひざまずいた。  赤い体、5メートルはあろうかという巨体を持つ大魔王は、じっと魔王を見つめた。 「魔王…なぜ呼ばれたかわかるか?」 「……私の魔力が弱まったからでしょうか?」 「そうだ、その姿は、どうした?」 「…勇者との戦いで負った傷です」  プッと吹き出すような声が、大魔王の横で上がった。 「…何か?」  魔王は、視線を横へ向ける  大魔王の左右に列を作っていた計11人の内の魔族の一人、女の魔王と目が合う。 「いえ失礼、まさか人間如きにここまでやられるなんて、とんだ王族の恥さらしだと思いまして」と女の魔王 「そういってやるな、こいつは俺達の中でも最弱、落ちこぼれだ、むしろよく生きて戻ってこれたとほめてやるべきじゃないか?」隣にいる銀髪の魔王も言う。 「まぁおなんて寛大な、でも確かに…その通りですわね」  嘲笑の目を向けながら、女の魔王は口を閉じた。 「……」  魔王族、12人の魔王と、1人の大魔王の計13名のみ存在する種族である。  先ほどの女の魔王と、銀髪の魔王が言ったことは事実であり、13名の魔王族で最弱の魔王である自分に、何も言い返す方法はない。 魔王族で最も弱いのも事実、人間に傷を負わされたのも事実。 反論しても、瞬殺される。  屈辱に右手を握りしめ、魔王はただ耐える。  それほどの差が、自分と他の魔王達には、ある。 ……勇者、余を倒したところで、その先にはさらなる絶望しかないのだ  おそらくここにいる方々ならば、貴様なぞ、指一本で軽くひねることができるだろう。  それが12人だ。 何度よみがえり、奇策を施そうが…… 「魔王よ」  大魔王の言葉に、魔王の思考が途切れた。 「…人間界に侵入できるのは、貴様のみだ、ゆえにこの作戦を任せている」 「……」
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