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魔界――大魔王城、大魔王の間
巨大な王座に鎮座する、大魔王に対して魔王はひざまずいた。
赤い体、5メートルはあろうかという巨体を持つ大魔王は、じっと魔王を見つめた。
「魔王…なぜ呼ばれたかわかるか?」
「……私の魔力が弱まったからでしょうか?」
「そうだ、その姿は、どうした?」
「…勇者との戦いで負った傷です」
プッと吹き出すような声が、大魔王の横で上がった。
「…何か?」
魔王は、視線を横へ向ける
大魔王の左右に列を作っていた計11人の内の魔族の一人、女の魔王と目が合う。
「いえ失礼、まさか人間如きにここまでやられるなんて、とんだ王族の恥さらしだと思いまして」と女の魔王
「そういってやるな、こいつは俺達の中でも最弱、落ちこぼれだ、むしろよく生きて戻ってこれたとほめてやるべきじゃないか?」隣にいる銀髪の魔王も言う。
「まぁおなんて寛大な、でも確かに…その通りですわね」
嘲笑の目を向けながら、女の魔王は口を閉じた。
「……」
魔王族、12人の魔王と、1人の大魔王の計13名のみ存在する種族である。
先ほどの女の魔王と、銀髪の魔王が言ったことは事実であり、13名の魔王族で最弱の魔王である自分に、何も言い返す方法はない。 魔王族で最も弱いのも事実、人間に傷を負わされたのも事実。 反論しても、瞬殺される。
屈辱に右手を握りしめ、魔王はただ耐える。
それほどの差が、自分と他の魔王達には、ある。
……勇者、余を倒したところで、その先にはさらなる絶望しかないのだ
おそらくここにいる方々ならば、貴様なぞ、指一本で軽くひねることができるだろう。
それが12人だ。 何度よみがえり、奇策を施そうが……
「魔王よ」
大魔王の言葉に、魔王の思考が途切れた。
「…人間界に侵入できるのは、貴様のみだ、ゆえにこの作戦を任せている」
「……」
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