第四章

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 でなければ誰がこんな、人間に手こずるような奴を送り込むものか、そういう事だろう 「だがな、こちらも、大魔力を持った魔族を人間界に送る術は検討することにした、貴様の魔結界の完成を待たずとも済む様にだ、この意味は分かっているな?」 「……は」  危うく勇者に殺されそうになった自分の、その情けない現状が招いた当然の帰結だろう、この屈辱にも耐えるほかあるまい 「情けないことこの上ないわね、こっちは天使と戦いで忙しいというのに…無駄な手間よ」 「……」 「もう良い、下がれ」 「は!」  魔王は、大魔王の間を後にした。 「……」  大魔王城を出た魔王は、カッと目を見開き、空へ向け魔力を解き放った。  放たれた漆黒の光線が、魔界の赤い空を貫き、どこまでも昇ってゆく。 「……クソ。」  魔王は、苦虫を噛み潰したように顔をゆがめ、人間界へと足を向けた。 「魔王様、よくぞご無事で」 「うむ」  魔界から帰還した魔王を、側近が迎える。 「さっそくご報告したいことが」 「ほう」 「奴が、やっとおちました」 「! 今は何日だ? 勇者は?」  魔界で過ごした時間は半日にすぎなかったが、魔界の人間界では時間の流れが違うのだ。 「まだあと一日あります、魔王様がお戻りにならなければ、独断で進めようと思いましたが、間に合って幸いでした」 「うむ」  魔王は、顔に笑みを浮かべ、歩き出した。 (勇者……お前はいったいどんな顔をするんだろうな)  それ考えると、先ほどまでの不愉快な気分が晴れた。
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