第四章

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 魔王に寝返りながら、なぜあの神父は神系魔法が使えた?  わからない  少なくとも神父は、女神様への信仰を捨てずに、魔王に従ったことになる。  どうやって?  わからない  ……なぜ女神様は……神父に力を与え続けている?  わからない  捉えられてから二日が過ぎた、拷問はない……何もしてこない、なぜ?  わからない  神父の最後の言葉の意味は…  …わからない  わからないことが多すぎた  勇者はただ恐怖した。  ガチャリと牢が開く音がした  勇者はビクりと、視線を上げる。 「勇者、元気そうだな」  魔王…その傍らには、若い女がいる。  女は恐怖と戸惑いの入り混じった表情を浮かべながら、あたりを見渡している。  勇者はこの女に、見覚えがあった。 かつて旅の途中で救った村の娘だ。 「この女に、貴様の面倒を見てもらう」 「……?」 「入れ」 女「ヒッ」  女は、勇者のいる牢の中に突き飛ばされた。  牢が閉まる。 「せいぜい世話をしてもらうといい」  魔王はそういうと、踵を返し去って行った。 勇者「……」 女「……」  勇者は、女を見る。  痩せた、頬のこけた女、その女は目を合わせると、弱弱しく微笑んだ。 「勇者様…こんな形ですが、またあえて光栄です」 「…」  勇者は、猿ぐつわを外すよう目で促す。 「勇者様、残念ですが、それはできません、勇者様からは見えませんが、それ鉄で錠がされてますべ、おっと、なまっちまった」 「……」 「…それにおらの親兄妹が人質になっとります、ただおらは、勇者様の世話ば仰せつかっただけです」 「……!」 「ふつつかもんですが…よろしくおねげぇします」 「……」  勇者は、またわけがわからなくなった。
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