第四章

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「もし、信仰を捨てていなければ、五人はまた肉団子だ、そしてまた、貴様に恩のある者をさらい、ここに連れてくる、貴様が信仰を捨てるまで、何度でもだ。 わかったな?」  魔王はそれだけ言うと牢を後にした。 「……」  女神にとって  神にとって、俺たちは家畜……  だから、助けない  善人だとか、そういうのは関係ないと  ただ、信仰さえあれば……  だから、勇者なんて存在を作っただけであとは放置か  こんなに苦しいのに  あんなに努力したのに  女神を信じて  僧侶は心壊した  俺を解呪した神父は歪んだ  今、あの神父の言葉の意味がわかった気がした  女神様は無意味な試練を与えない  女神を信仰する者が、一番最初に教えられる言葉だ。  なぜなら女神は、人々を幸福にするために存在するから  だから……この先に、自分の行いの先にも幸福が待っていると……あの神父は、信じたのだ。  その気持ちもわからないではない。 神父が動くことで助かる命がある。  目の前で地獄の苦しみを味わっている人々を、神父の行いで救うことができるのだ。  俺も、同じ立場だったら、そうしたかもしれない。  だから神父は、自分の中の信仰を捨てることなく魔王に手を貸すことができた。  女神の慈悲の心を信じ、目の前で苦しむ人々を救ったのだ。  勇者は自嘲する
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