第五章

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「……」 「……勇者…か?」 「……!?」  勇者は目を見開く。  辺りを見渡し、見慣れた祭壇に立っていることを確認する。 (死んだ? 俺が……)  なぜ? どうやって……?  疑問が頭の中でループする。  そんな勇者の横で、まばゆい光がはじけた。 「…ふう」  粒子を散らしながら、司祭が勇者の横に立つ。 「お前が…助けてくれたのか?」 「……ッ!」  司祭は、驚いた。  白く染まった髪、こけた頬、痩せこけた体。  腕や目元が、小刻みに震えている。  それだけで分かった。  この半年間、どんな状況に勇者がいたか。  助けだせてよかったと思う。  しかし同時に……また別のことを司祭は考えずにはいられなかった。  この勇者に……この弱り切った若者に……はたして魔王が倒せるのか?  倒さなければならないのだ。  もはや後戻りはできない状況なのだ。  しかしその勇者がこのありさまでは―― 「…ああ、無事…でよかった」と司祭は言う。 「無事だと?」  勇者の顔が強張る。  勇者の気配が変わったことに、司祭は緊張を高めた。 「お前このありさまを見て…本気でそう思ってるのか―」 兵士「勇者さま」
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