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3万の兵士を、1000人の魔法使いが転移魔法で送り出し、魔王城への電撃攻撃は行われた。
突然の人類の反撃も、しかし魔王にとっては向かってくる蟻を踏みつぶすに等しい
ただ数である、3万ともなれば、いかに強力な魔法で蟻を蹴散らそうとも、そのすべてを瞬時に殲滅させることは不可能であろう。
ゆえに、勇者救出の成功率は高いといえた。
ただし、その代償もまた、極めて高かった。
3万の作戦参加者のうち、転移魔法で逃げおおせた20名を除き、魔王城の強力な魔物や魔王にすべて殺された。
それが、勇者の聞いた、自分を救出する作戦の全容だった。
「……。」
勇者は、王座の前で跪いていた。
変わり果てた勇者の姿に、王も、周囲に立つ大臣や参謀も声をかけられずにいる。
無造作に生えた無精ひげ、痩せた体躯、こけた頬、髪は白く染まり、目に生気がない。
半年もの間、拷問を受け続けたであろうことを考えればありえないことではない。
しかし、勇者なら、と、皆信じていたのだ。
昔小さいながらに、懸命に魔物と戦い、この国を守った勇者の背中を、皆信じていた。
だがその背中も、今は痩せ細り、小さく頼りなく見える。
「……勇者、よくぞ戻った」
王は、言葉を選ぶように口を開く。
勇者「……」
勇者は何も答えない。
「勇者、王の御前であるぞ」
大臣の言葉にも、勇者は反応を示さなかった。
「……」
重い沈黙が落ちる。
王は痛々しげに勇者を見つめていた。
「……馬鹿だ」
かすかな声が聞こえた。
「?」
勇者「こんな俺なんて…救う価値なんかないのに…」
王「!?」
「3万の戦力を……こんな……」
王宮兵士「貴様ッ!!」
若い一人の兵士が今にも飛びかかろうと身を乗り出す。
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