第五章

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「やめよ」  その兵士を、王が止めた。 王宮兵士「しかしっ」 「……勇者よ、救う価値がないとは、どういうことだ?」  王は、視線を勇者へ向け、そう尋ねた。 「……意味がないんです」 「意味がない?」 「魔王から聞いたんです……魔界には、今の魔王よりも強い魔王が12人いる」 「「「「「!?」」」」」  その一言に、王の間にいたすべての人間に動揺が走った。 王宮兵士「…そんな」  さきほど激昂した兵士も、茫然とそうつぶやく。 「あの魔王相手にこの様の俺が、どうやって他の魔王を倒す? 無理だ、できっこない!!そんなことは子供にだってわかるんだ!!」 参謀「しかし勇者、そのほかの魔王とやらは、なぜ人間界にやってこない? 複数の魔王がいればこの世界など簡単に征服できるのではないか?」  参謀の言葉を、勇者は鼻で笑った。  征服? 笑わせる 「…そもそも、魔王が戦っている相手は、人間ではないってことですよ」  勇者はそう切り出すと、魔王の言った話を説明した。  しかしその中で、女神のことはあえて伏せた。  女神は確かに人間を家畜だと思っているのかもしれない、しかし信仰から得られる力は、確かに存在するし、その力を失えば、人類が…この世界の人類が生き残る可能性は限りなく0になるだろう。  生き残る可能性……  説明をしながら、勇者は内心苦笑する。  まだそんな可能性があると、…俺は思っているのか
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