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勇者の体が、ブルリと震えた。
このまま、均衡を保つこともできないのか……
時間の問題か……くそ
一度震えだした体は、勇者の制御を外れ、ずっと震え続けている。
震える口で、勇者は口を開く。
女神の信仰を捨てる方法は、簡単だった。
女神を貶める言葉を、吐けばいい。
思うだけでは駄目なのだ。
その想いを、心の底から声に出すことで、初めて信仰を捨てることができる。
「このく――」
声を発し始めた口を、勇者はとっさに手で塞いだ。
かつてともに旅をした仲間達が、自分の所為で苦しんだ人たちが、自分の為に死んだ人たちが
勇者にそうさせたのだった。
勇者「…くそ……くそおぉぉおおぉ……」
口を手で塞いだまま、くぐもった声を上げながら、勇者は涙を流した。
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