第五章

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~~~~~~~~  自分の息遣いが、いやに大きく聞こえる。 女戦士「……」  女戦士は震える体を何とか抑えつけようと、両手で体を抱いた。  恐れるな、恐れるな  女戦士は、そう何度も自分に言い聞かせる。  ある森林地帯と岩礁地帯の境目、木の影の隠れ、女戦士は先の岩礁地帯に目を向けた。  巨大な竜の頭が、岩礁地帯の岩の上から顔を出している。 「……ッ」  女戦士はとっさに首をひっこめた。  いる、この先に、魔王軍が。  女戦士は腰に下げた剣を抜くと、両手で握りしめた。  村のみんなのために。  殺されたって構わない。 このままのうのうと生きるくらいなら、せめて一矢報いてやる。  女戦士は、ぐっと歯を食いしばると、木から飛び出すように身を躍らせ、岩礁地帯へ駆け出した。  だが、突然の雷鳴と閃光が、女戦士の聴覚と視覚を奪った。 「!?」  光に目を細め、何とか先の景色を見る。  その先の景色は、雷の嵐が魔物どもを紙切れのように吹き飛ばす光景であった。  魔物の絶叫と雷鳴が空間を震わせる。  黒焦げになった竜が、地に倒れ大地が揺れた。 「……ッ??」  一体何が……  雷の雨が止んだ。  しかし女戦士は、いまだに視界に入ってる情報を、うまく処理できずにいた。  魔物が、魔王軍がひとりでに吹き飛んでゆくのだ。  ある一体は突然細切れになり。ある10体は同時に胴体と下半身が分断される。  場を支配する突風が、肉片を吹き飛ばす。  吹き荒れる衝撃波の余波だけでも、戦地から1㎞は離れている女戦士が、体が吹き飛ばされないよう力まねばならないほどだった。  また稲妻。  そして突風。  魔物の残骸が女戦士の横を転がってゆく。  血しぶきが衝撃波に乗り、女戦士を頬を汚した。  総勢1万を超えるであろう魔王軍が、次々とゴミのように吹き飛ばされてゆく。 「……なにこれ」  女戦士はそうつぶやきながらも、謎の力に蹂躙されてゆく魔王軍から目を逸らせずにいた。
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