第五章

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「やーみんな、ただいまー」  女戦士は朗らかに笑いながら、村の人々に手を振った。  広間に集まっていた村人たちが、一様に驚きの目で、女戦士を迎えた。 村人(男)「お……女戦士! お前無事だったのか!」  村人たちの中から、一人の若い男が前へ出る。 「まーねー、私にかかれば楽勝? みたいな」 「ばかやろう!! 村のみんながどれだけ心配したと思ってんだ!」 「もー、そんな怒鳴らないでよう、朗報を持ってきたんだから!」 「朗報……?」 「そうよ! 魔王軍は全滅した! これで村を手放さなくてすむよ! みんなの畑も大丈夫!」  女戦士は満面の笑顔と共にVサインを作った。 「!?」  衝撃が村人たちに走り、それは大きなどよめきに変った。  魔王軍が?  まさか  いやでも  信じられない 「……お前ついに頭おかしくなったのか?」 「あー、やっぱり信じてくれないか、じゃあ証拠を見せるよ!」 「証拠?」 「そう! こちらにおわす勇者様こそ、魔王軍を倒してくれた張本人なのです!」  女戦士はそういうと、大げさに手を振り、後方に立つ男を示した。 「勇者…」  村人たちの視線が一斉に女戦士の後方へと注がれる。  そこに立つのは、腰に一振りの剣を携え、布の服をきている痩せた男だった。  何よりも目を引くのはその白髪だ。まだ若い風体だというのに、その髪だけは、一本残らずすべて白一色であった。その下、どこか疲れ切った目がどんよりと中空を見つめている。  勇者には……もう見えない。 「本当に……勇者なのか?」  村人(男)は、疑わしげな視線を、勇者へ向ける。 「ほら勇者様、なんか証拠だして、このままじゃ村のみんなが信じてくれないよう」  女戦士はぼそぼそと勇者にささやく。 「……わかった」  勇者が答えると同時、勇者の額に光り輝く太陽の紋章が浮かび上がった。 村人(老婆)「おお……」  勇者様だ……  間違いない  女神信仰の中でも象徴的な太陽の紋章。  その紋章が刻まれたものこそ勇者であることを知らないものは、この世界には存在しない。
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