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私を待ち構えていたかのように、少し先にある階段から下りて廊下に出て来ていたのだ。
ちょっと、何なのよ!
目の前に「赤い人」がいるなら、さっきの白い手は何!?
一瞬そう考えたけれど、「赤い人」の手は真っ赤に染まっている。
あの白い手が「赤い人」の物のはずがない。
引き返せばまた足を掴まれるかもしれない。
そう考えて、私は一か八か「赤い人」の横を通り抜ける事を選んだ。
振り返らなければ……八つ裂きにはされないんでしょ!
肌を露出している部分が、引き裂かれそうになるような恐怖の中、私は待ち構える「赤い人」の横を通り過ぎた。
手を出して来るわけでもなく、走って追い掛けて来るわけでもない。
ただニタリと嬉しそうに笑っているだけで、通り過ぎる私を見ていた。
背後に「赤い人」がいる。
追い掛けて来ないのに、何かに追われているような感覚が背中にある。
そして差し掛かった渡り廊下。
そこから見た校門が、思った以上に遠く感じる。
歩いても数分の距離なのに、何十分も走っているような気さえする。
校門の前にいる優香の姿を目にして、少しだけ安心したけど、気を抜いてはいけない。
まだ私は、危険な状況の中にいるのだから。
そして、渡り廊下を過ぎて階段に差し掛かる。
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