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「え!?嘘!なんでよ!」
慌ててドアに近付き、取っ手を思い切り引いてみたけど、ビクとも動かない。
安心した矢先、襲って来た絶望に、私は焦りを覚えた。
もう少しで校門なのに、何なのよこれ!!
「赤い人」の怪談では、校門を出るまで決して振り返ってはならないしか知らない!
出るのを邪魔されるなんて聞いてないよ!
何度引いても押しても、ドアが開く気配はない。
「もう!どうして開かないのよ!」
焦りから生まれた苛立ちに身を任せ、ドアのガラスをバンバンと叩いた時……私の目に、あり得ないものが飛び込んで来た。
私の腕に隠れて見えなかった白い腕。
それが私の背後から伸びて、ドアの取っ手をしっかりと握っていたのだから。
「ひっ!!」
小さな悲鳴を上げて、思わず飛び退くと、その白い手もフッと消えたのだ。
今の……廊下で私の足を掴んだ手?
消えたのなら、ドアが開くかもしれない。
そう思ってもう一度ドアに近付くと、私が掴むより早く、白い手が伸びて取っ手を掴んだ。
「もう!いい加減にしてよ!」
振り返ったら殺される、家に帰りたい。
いつもの簡単な「下校」という行動の難しさに、涙があふれ出す。
そこだけじゃなく、隣のドアも、さらに隣も、白い手が邪魔をして出る事が出来なかった。
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