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「ハァ……ハァ……」
校門までの距離がいつもより短く感じたのは、私が興奮していたからかな。
でも、校門を出るまで振り返らなかったから、これで助かったんだよね。
「ちょっと里奈、そんなに慌ててどうしたのよ!」
背後から聞こえた優香の声。
と、同時に私のポケットの中のスマホが音を鳴らした。
それを取り出し、画面を確認しながら振り返った私の目に……。
「まだ?どれだけ時間掛かってるのよ」
という、優香からのLINEと、真っ赤に染まった女の子の姿が飛び込んで来たのだ。
……え?
何……これ。
校門から出たはずなのに、振り返った場所は校門から5メートルほど手前の場所。
つまり私は、校門から出ていないのに振り返ってしまったのだ。
「ねえ……赤いのちょうだい」
音楽室の前の階段から一階に下りたはずなのに、また三階に戻った時点で、私が思ってるようにはならないと考えるべきだった。
小池先生もそう、私を騙して振り返らせようとすると。
そして赤い手が私の首に伸びた。
この後私がどうなったのか……あの怪談の通り、八つ裂きにされたのだろう。
そこに……優香が待っているのに。
ー翌日ー
いつもと変わらない、皆がいる教室で、私は優香に呟いていた。
「ねえ、優香……私のカラダを探して」
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