赤い人

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「理恵、大丈夫?って、里奈じゃない。どうしたの?そんなに慌てて」 尻もちをついた理恵に手を差し伸べながら、森崎明日香が不思議そうに私の顔を見る。 「え、あ、ごめん。理恵、大丈夫?」 「うん、大丈夫だけど……里奈の方こそ大丈夫?顔、真っ青だよ?」 明日香の手を掴み、起き上がった理恵が心配そうに私の顔を見る。 二人とも中学校の同級生で、そんなに仲が良かったというわけではないけど、何度か一緒に遊んだ事がある。 そんな二人が目の前にいる安心感が、私の心を少し落ち着けてくれた。 「私は……そ、それより二人は何してるの?用事がないなら一緒に……」 一人でいる生徒の前に「赤い人」は現れる。 だったら二人以上でいれば現れないはずだけど……。 「ごめん、今からレポート提出しに行くんだ。化学の実験のさ」 そう言って私にレポートを見せる。 だけど私も引き下がれなかった。 ここで二人と別れれば、また一人になってしまうから。 「お願い!校門まで一緒に来て!実は私……『赤い人』を見ちゃったの!」 明日香の肩を掴み、必死に訴えるけど……理恵の顔を見て、頼み方を間違ってしまったと理解した。 「やだ、やめて!怖い話は聞きたくないよ!」 耳を塞いで首を横に振る理恵。
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