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確かに、以前課長が、私の部屋で熱を出したときは、額と額をくっつけて熱を測った。
……けど。
あの時、課長は、意識が朦朧としていたはず。
熱が下がった後も、熱に浮かされている間の記憶は曖昧だったと言ってたから、すっかり安心していたのに。
もしかして、全部、覚えてる……の?
今まで、そんなそぶりなんて、微塵もみせなかったのに。
『あんなことやこんなこと』が、リアルな感触付動画で脳内再生されて、一気に顔が熱くなる。
チラリと、上目づかいで伺い見れば、課長は、ニコニコ笑顔で私が額で熱を測りに行くのを待っている。
――わ、分からない。
課長の真意が、分からない。
なんで、こんな状況に陥っているのかも、まったくもって分からない。
でも、いつまでも、こうして両手を握り合って至近距離で顔を突き合わせているなんて、私の羞恥心が耐えられない。
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