第1章

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「マサキ様、媚薬が入ってると宣言されてわたしどもがホイホイ飲むとお思いですか」 「思わないけど。はい、飲んで」 「マサキ様……」 「公平になるように紅茶も鍵も僕は最後に選ぶから」 「マサキ様!」 「嫌だったら媚薬入りを選ばなきゃいい話だよ。飲んだとしても、本物の鍵を選んで手錠をはずしてどこか隠れてひとりでやり過ごせばいい」 それでも渋ると、これは命令だよと言われた。マサキ様はズルい。 それを言われたらもう従う他に選択肢はない。 3人同時に紅茶を飲み干す。 手首には手錠。 マサキ様の指示で全員目隠しをした。 自然と会話は途切れシンとした空気の中で、やけに聴覚だけが研ぎ澄まされている気がする。 この状態がいつまで続くのかと思ったとき。 「……ハッ、……っ?!」 一番最初に沈黙を破ったのは東雲だった。 「……な…、に」 「東雲…?」 「東雲に当たったんだね~、媚薬」 弾むような声でマサキ様が言った。明らかに面白がっている様子だ。 「東雲いつも無表情だから、いまどんな顔してるのかすっごい見たいなー!」 「……ん…、ハッ…」 「結構クルでしょ、それ」 「マサキ様、そろそろ手錠を」 苦しそうに浅い呼吸を繰り返す東雲を少し気のどくに思い、思わずマサキ様を促した。せめて東雲の手錠が外れれば、この状況から逃れることはできるだろう。 「手錠の鍵も、ひとつだけが当たりだからね。東雲のが本物だといいねー」 マサキ様がクスリと笑った。 ◇◆◇ 「んぅ…、は…ぁ」 「世良、わかる?いまは東雲とキスしてる」 「……」 手錠の鍵は、マサキ様が本物を引き当てた。僕の勝ちと言いながら、いまだ目隠しに手錠をしているわたしに命令をくだす。 世良は、そのまま僕たちのすること聞いててーーー。
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