第1章

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 翌日の昼過ぎ、とあと源之助は、あの放火されかけた建物の中にいた。そこは医療施設だと、改めて訪れた時に初めて分かった。  建物の入り口には大きくど派手な看板に「エアリ・ターミナル・ケア病院」と書かれていた。  いかにも高価そうな来客用ソファに座って、とあと源之助は部屋のあちこちに飾られたこれまま高価そうな花瓶やら絵画やら、成金趣味丸出しの調度品を半ばあきれて眺めていた。  やがて奥のドアが開き、白衣を着た、しかし馬鹿でかい宝石のついた指輪を4つもつけて、超高級腕時計やネクタイピンをつけた男がやって来て、二人に軽く頭を下げた。 「この度は放火を未遂で防いでいただいたそうで。お礼を申します」
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