第1章

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 少女は話した。あの建物、正確にはエアリ・ターミナル・ケア病院から聞こえてくる、苦痛にもがいて助けを求めている声の事を。とあが口をはさむ。 「でも、あたしたちには、何も聞こえなかったのよ」 「ツキナちゃん、その助けを求めている人の名前とか、年齢とか、なんかそういう事分かる?」  源之助が上着のポケットから手帳を取り出し開きながら訊いた。 「全員じゃないけど、五人ぐらいは覚えてる」
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