第1章

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「一口にニートって言っても、いろんな事情があるんだ。そうなる理由にはね。タチの悪いブラック企業にこき使われたあげくに体壊したとか、心の病気になったとか、同情したくなる話も結構多いんだよ」  源之助はまた手帳をぱらぱらめくって内容を確かめながら話を続けた。 「年食ったニートだっているよ。中高年ニートって言ってね。ただ、中には親に食わせてもらって引きこもっていたいだけの、筋金入りの怠け者も一部だがいる。あの病院の入院患者は、全員がその手の筋金入りの中高年ニートの親なんだ」 「でも、なぜその親を病院へ?」  ツキナがますます分からなくなったという表情で訊いた。  源之助はまた顔をしかめて答えた。
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