11人が本棚に入れています
本棚に追加
/56ページ
とあが不機嫌丸出しの様子で車を発進させ、しばらくすると大通りからはずれた物寂しい場所へ出た。
駅と駅の中間で再開発に取り残されたらしい場所に、場違いに立派な巨大な建物があった。
ちょうどその前で二人の乗った電気自動車が、ギギギギという嫌な音を立てて急激にスピードダウンした。
とあはあわてて路肩に停車した。まだほろ酔い気分の源之助を急かして外へ出る。源之助が後輪の辺りを見ながら、のんきな口調で言った。
「タイヤのホイールカバーがずれかけてんな。よっしゃ、これでOK」
最初のコメントを投稿しよう!