第1章

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 とあが不機嫌丸出しの様子で車を発進させ、しばらくすると大通りからはずれた物寂しい場所へ出た。  駅と駅の中間で再開発に取り残されたらしい場所に、場違いに立派な巨大な建物があった。  ちょうどその前で二人の乗った電気自動車が、ギギギギという嫌な音を立てて急激にスピードダウンした。  とあはあわてて路肩に停車した。まだほろ酔い気分の源之助を急かして外へ出る。源之助が後輪の辺りを見ながら、のんきな口調で言った。 「タイヤのホイールカバーがずれかけてんな。よっしゃ、これでOK」
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