第1章

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 とあはピンクのパンツスーツの埃をはたきながら、鼻をくんくん鳴らした。 「ちょっと、源之助さん。なんか燃えてるような臭いがしない?」 「え? ほんとだ。けど、これ完全電動の自動車だから、そんなはずは……いや! これ、あっちの方からだ!」  源之助がその方向へ走り出し、とあも遅れて後を追った。その場違いに立派な建物の壁のある場所から、かすかにガソリンの臭いが漂って来ていた。  その地面にしゃがみ込んで、小さな人影がマッチを擦っていた。しかし湿ってしまったのか、マッチに火がつかないようだった。
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