たどり着いたのは見知らぬ土地

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今まで体感したことがなかったような壮絶な衝撃に耐え、終わるのをひたすら待つ。 一体何にぶつかっているのかなんて確認しょうがない状態だが、僕はちらりと窓の外を見た。 「えっ?」 一瞬しか見なかったが、外は森のように木々が生い茂っているように見えた。 ということは今この電車は木々をなぎ倒しながら地面を滑走しているわけか。 それで断続的に衝撃が来るわけね、と一人で思っていた。 鉄の棒から伝わる衝撃によってそろそろ手に力が入らなくなって来そうだ。 ヤバいと思いながらも僕はどうすることも出来ず、ひたすらこの衝撃が止むことを祈るばかりだった。 すると思いが通じたように最後に一回大きな衝撃が来たかと思えばそれ以来衝撃が来なくなった。 そっと閉じていた目を開ける。 目に入ってきたのは酷い有り様だった。 もちろん僕ら乗客は無事で済むはずもなく至るところから血を流している。 が、幸運な事に僕は目立った外傷はどこにもない。 僕はそうでもないが他の人はガラス等に皮膚を切られたり、酷い人は枝が刺さっている人まで居た。 そんな状況を見ても取り敢えず電車が止まってくれたことには安堵せざるおえない。 急いでコウヤとミナコを探すと、少し離れた所まで飛ばされていた。 恐らくだがミナコは衝撃に耐えきれず飛ばされてしまったのだろう。 それに気づいたコウヤがすかさず助けに入った、ということだろう。 コウヤはミナコを抱き締める形で床に落ちているガラス片からミナコを守っていた。 僕はすかさず二人の元へ駆ける。 「お、おい、大丈夫か二人とも?」 「うん、ウチはコウヤ君に助けてもらったから大丈夫............けど...........」 「俺もかねて問題ない。タツキは?」 「いや、頭から血を流してるヤツが無傷の俺を心配するなよ。お前こそ本当に大丈夫なのか?」 「まぁ、小学生の頃に新体操の技をミスって頭から落ちた時よりかは平気だね」 するとミナコは申し訳無さげにコウヤに謝った。 「あ、あの、本当にごめんねコウヤ君」 「ハハハ、ミナコも気にしなくて良いよ」 まったく、謝るなんてせっかく助けたコウヤが報われないじゃないか。 「そうだぞ、せっかく助かったんだからコウヤには謝るんじゃなくてお礼でも言っとけよ」 「う、うん、コウヤ君、守ってくれてありがとね」 「なんのなんの、お安いご用さ」
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