たどり着いたのは見知らぬ土地

16/20
前へ
/110ページ
次へ
だからという訳じゃないが僕とコウヤも多少の知識はあった。 理由は簡単。 ミナコの実験台によく使われていたからだ。 そのせいで嫌でも包帯の巻き方とか止血の仕方とか覚えてしまった。 最近は僕たちの歳が歳だからそれは滅多にやることは無くなったが、学生が持っとく応急処置の知識としては十分なほどだった。 まぁ、今回はそれに救われたから結果オーライだろう。 そのおかげで怪我人の応急処置くらいはしてあげれたと思う。 重症な人達はミナコに任せて軽症な人達は僕とコウヤが傷の手当てをした。 そして一番前の車両から一個前の、所謂二車両目に着いたとき目を疑った。 そこはさっきまでの比ではないくらいの被害状態だった。 一目で分かる。 ほとんどの人が即死並の怪我を負ってる。 頭に枝が刺さっていたり、内臓が飛び散っていたりと酷い有り様だった。 「そ、そんな、酷い.........」 いや、むしろ俺達が運が良いだけで本来はこの阿鼻叫喚の様子が電車事故では当たり前なのだろう。 有る意味即死した方が幸せかもしれないと思えてしまうような怪我をしてる人等があげるうめき声がはっきりと耳に入ってくる。 二車両目がこれなら一番前の車両はもっと酷いのだろう。 「正直言ってこれはどうしようもないな」 「そ、それでもほっとけないよ」 「そうだね、取り敢えず生きてる人だけはどうにかしよう」 僕ら三人は腕を失ってしまった人や両足から骨がつきだしている人の二名を救出した。 もう一人生きていた人が居たが、内臓が出てしまっていて僕らの目の前で息を引き取った。 一車両目の人達は全滅だった。 一番酷かったのは運転手だった。 もはや頭が見当たらなかった。 取り敢えず動ける人たちで扉を開けて外に出ることに。 そして怪我人を外にゆっくりと運び横にならせる。 「これで全員か」 「そうだね。俺は車内をもう一回見て使えそうな物を取ってくるよ」 「あぁ、それなら僕も行くよ。量によっては大変だろ。ミナコは怪我人の世話を頼む」 「うん分かった。あっ!ちょっと待って」 そう言ってミナコは僕ら二人を呼び止める。 するとバックの中から余ったという絆創膏を渡してきた。 「はいこれ、二人とも使って」
/110ページ

最初のコメントを投稿しよう!

111人が本棚に入れています
本棚に追加