たどり着いたのは見知らぬ土地

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別にお兄ちゃんと言う響きに何ら興奮もしないが、兄である以上は少し言われたいと今更ながらに思う。 今こうして妹が洗面所に立ちふさがるのも兄の威厳が無いからでは?と思う時がある。 そんなときなど、お兄ちゃんと呼ばせておけば少しは.........あ、いや、兄の威厳がどうのこうの語るのはよそう。 多分、おそらく、メイビー、変わってなかっただろう。 僕の性格上威厳がどうのこうのとか語れる生活はしてない。 故に、僕は......... 「ほら、怒る理由は見つけたでしょ?ほれ、怒ってみんしゃい」 と、意地悪な笑顔でそう言ってくる。 「くそ、今回は僕の負けだ。元々寝坊した僕が悪い」 「ふっ、勝った」 「くっ、次こそは絶対に勝ってやる。覚えてろ、魔王め!」 「なにその噛ませ犬みたいな勇者」 と言ってケラケラ笑う妹。 と、リビングの方からお母さんが早くしろ、と急かしてくる。 はっ!として二人共急ぐ。 流石に時間が時間らしく妹も横にずれてくれてようやく嗽が出来るってもんだ。 僕と妹は朝食を素早く済ませ、行ってきまーすと玄関から飛び出していった。 「うおっ、コウヤ!まだ行ってなかったのか!?」 「え、コウヤ君!?」 「やぁ、おはよう。それにしても相変わらずだね二人共。朝から会話がご近所に響き渡ってたよ」 そう、何を隠そうコイツが僕ら兄妹の幼なじみ、朝霧 幸谷[コウヤ]である。 え、僕の幼なじみ萌は、って? 人生うまくいくことなんてそうそう無いらしいく残念ながら僕の幼なじみは男だ、美男子だ。 因みにコウヤに僕が幼なじみ萌だということを初めて伝えてみた時[え、君ってホモなの?]と言われた。 しかも真顔で。 その時のコウヤの決意を固めた目は生涯僕は忘れ無いだろう。 あ、一応言っとくと僕は歴としたノンケである。
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