1人が本棚に入れています
本棚に追加
その言葉が嘘だったとは思わない。大牙はあらゆることから僕を守ったし、いつも側にいてくれた。どんな時でも、僕の傍らから離れなかった。
でも、大牙は僕を裏切った。
灯体にとって生命に関わるリンクを切った。僕とのリンクを。
理由はあまりにもはっきりしている。その直後、大牙は別の灯体とリンクした。
僕には大牙の考えがわからなかった。約束したのに、どうして大牙は僕を見捨てたのだろう。
そうして考えた。同時に直感した。大牙は、その灯体に騙されているのだと。
そうでなければ、大牙が僕を裏切るはずがない。
なくなった僕の心臓がざわついた。けれど、そのうごめきは大牙に届かない。
大牙が純粋に望んで離れたなら、僕も哀しみながらそれを受け入れただろう。
けれど違う。リンクの断絶は唐突で、僕は瀕死の淵に立たされた。
それはきっと、大牙の意志じゃないはずだ。
僕は赦せなかった。大牙をそそのかした灯体から、大牙を取り戻そうと考えた。
だから生きるために、僕はまた別の灯体とつながった。
その灯体は、僕の考えを受け入れてくれた。一緒に大牙を取り戻そうと言ってくれた。
最初のコメントを投稿しよう!