第一章:とんでもない学生

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「その、ぱ、パンツを買ってほしいの」 「は?」 「だ、だからパンツを買ってくれないかなって。私、お金ないから」 俺の想像とは全く違った。 このことは墓までもっていこう。でないと、藤崎家末代までの恥になってしまう。 「もしかして、今お前ってノー――」 「それ以上言ったら殴るわよ?」 俺は慌てて口を押さえて、でかかった言葉を無理やり飲み込んだ。 「わかった、買ってくるよ」 「だ、ダメよ!! 私も行く!」 「いやいや履いてないのに、行くのはまずいだろ!」 「だ、だって、それだとあんたが選ぶわけだし。それだとサイズだって……」 ブツブツと小声で言った。 流石にそうか。男が選んだのなんて履きたくないよな。よく考えてみれば。 俺も選ぶの恥ずかしい。 「ジャージに着替えてこいよ。さすがにスカートはダメだ」 「う、うん。そうする……」 唯衣は着替えに、おれの部屋に向かった。
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