第一章:とんでもない学生

36/37
前へ
/76ページ
次へ
「ああ。わかった」 淳一に牽制したら、あっさり返事をされた。 なんか、ムカつく。 少しは女の子として見てくれたって……。 淳一がベッドに潜り込むので、私も一緒に中に入る。 「ベッド……小さいのね」 「一人用だからな」 ベッドの面積が小さいために、私は淳一と体をよせて寝る格好になってしまった。 淳一の匂いがする……。 久しぶりにこんなに近くに感じた。 最近はあんまりご飯とか一緒に食べてなかったし。 「なんかこうしてると、昔のこととか思い出さない?」 「昔のこと」 「ほら、よく皆でごっこあそびしてたじゃない」 「ああ。王子様がお姫様を助けにいくやつか」 「そう、それそれ! あのときは楽しかったよね。あとは魔女役と兵士役で真香(まなか)と椎良(しいら)がいたよね」 「俺は大変だったよ。俺が王子様役で、お前がお姫様役なのに、助けにこいって命令してくるし。お姫様役を巡って、唯衣と真香が喧嘩するから」 淳一に昔の痛いところを突かれて、恥ずかしさがこみ上げてくる。 「なんであんなにお姫様にこだわったんだ?」 「だって王子様がお姫様を助けに行くのって、素敵じゃない? 私。ああいうの大好きだから」
/76ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加