0人が本棚に入れています
本棚に追加
……コォォォン……コォォォン……
頭に響くような高い音が一定の間隔で、部屋の中に響き渡る。
いや、部屋ではない。ここ周囲一帯に広がっている。
それは自然の音ではなく、明らかに人工的なものが作り上げた音だった。
まだ眠っていたいと思う俺の頭が、それを聞いて覚醒し始めた。
「んぅ~。もう朝かぁ~?」
眠気の残る重たい頭を無理やり起こす。
だが、すぐに横になって布団をかぶってしまう。
……ピコォォォン……ピコォォォン……
またうるさいほど音が鳴った。
俺を眠らせまいとする音――探信音(ピンガー)が海中の岩か何かによって、跳ね返ってくる。
「わかった、わかったから! そんなに鳴らさなくても起きるよっ!!」
まったくなんてうるさい目覚ましだ。
抹香鯨もびっくりだぜ!
心の中で、音を鳴らす本人に罵声を浴びせ、渋々ベッドから出る。
高級感を漂わせる木製の扉を開けて、家の中央部にある発令所に向かう。
『おはようございます、淳一。お目覚めはいかがですか?』
鉄の隔壁の扉を開けて、発令所に入る。
軽い声で挨拶してきた俺の相棒。
「ああ、最高だよネブラスカ。どっかの誰かがアクティブソナーで起こして下さるから、頭痛がするわ」
最初のコメントを投稿しよう!