第二章:大切な人

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「全員おとなしくしてろぉ!」 覆面を被り、銃を手にした男たちが、銀行の中に押し寄せてきた。 まだ小さかった俺は、何かのパレードが始まったのか思っていた。 それは間違いだった。 「金を出せ」 黒い覆面を被って、口と目しか見えてない一人の男は銀行員に銃を突きつけて、金を要求した。 何も抵抗手段のない銀行員はなすすべがなく、指示に従うしかなかった。 金を受け取った覆面たちは入口に向かうが、それは突然鳴った警報によって、止められた。 ガチャガチャと音を立てて防火シャッターが入口を塞ぎ、犯人たちは脱出できなくなる。 だが、それは人質となった俺たちも同じだった。 警報が鳴ったことで、警察の特殊部隊が一気に展開するもお互いに出入りすることはかなわない。 「これでお前らは出られない」 警報ボタンを押したおじさん銀行員が不敵に笑った。 「ふざけんじゃねぇ!!」 強盗の一人がその行動に激怒。 銀行員に向かって引き金を引く。 パッと鮮血飛び散り、床や壁を汚した。 場は一瞬でパニック状態になり、黙らせる銃声がさらなる混乱をよんだ。 「きゃあああああ!!」 女の人が悲鳴をあげた。
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