第一章:とんでもない学生

3/37
前へ
/76ページ
次へ
『それは結構。私も普段起きない貴方を起こせる方法が見つかって、安心です。明日は試しに、発射管注水音にしますか?』 嫌味ったらしく言ってやったら、さらなる暴挙の提案で返してきたネブラスカ。 発令所や艦内のいたるところにあるディスプレイ画面に表示されている顔は、憎たらしいほどの笑顔だ。 「勘弁してくれよぉ~。いくら天下の人工知能様だってやっていいことと、悪いことがあるぜ」 そう、ネブラスカは人工知能。 俺が仕事をやり始めて、ここに移り住んでからずっと一緒にいる相棒だ。 家の操艦から機関制御、ダメージコントロール、ミサイルの発射をすべて行ってくれる。 ほかにも司令部への通信や、演算なんかもやってくれるので、俺の生活はこいつ なしではなりたたない。 さすがはアメリカだぜ。こんな化物作れるんだから。 「取り敢えず、新鮮な外の空気を吸いたい。いつもの頼むよ」 『わかりました。潜横舵(せんおうだ)上げ舵いっぱい!』 ネブラスカがそう言うと、家の艦首が上に持ち上げられる。 艦首方向に急速に上がる角度を感じながら、俺は鉄の梯子に捕まる。 突如の浮遊感を感じると同時に、家が何かでバウンドした。 『浮上完了』 頷いて、梯子を上っていくと。円状の水密扉が出口を塞いでいる。 重たいハンドルを回して扉を開けると、外の新鮮な空気と共に朝陽が俺に直射した。 その光と共に空気が艦内に入り込んでいく。 「今日は晴れか」
/76ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加